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漢方で治す症例

千代田漢方内科クリニック

当院は、漢方で病気の治療にあたる「漢方内科クリニック」です。
しかし、「漢方内科クリニック」と聞いても、「どんな治療や診察をするのか全然わからないよ」と思われている方が、ほとんどではないかと思います。

そこでこのページでは、実際に病気にかかった人の具体的な症例を用いながら、その症状に対して、当院ではどの様な考え方をし、どの様な治療をしていくのか、それぞれの症状毎にご説明していきたいと思います。
ご自身の症状と照らし合わせて、ご来院の際のご参考にしてみて下さい。

更年期障害の漢方治療について

更年期障害の根本原因は「腎虚」

中医学では、人間の卵巣機能が低下しホルモンや自律神経の変調をきたす更年期障害の根本原因は、「腎(じん)」の働きの低下ということ、つまり「腎虚(じんきょ)」という概念で捉えています。2000年以上前の中国の医学書 「黄帝内経」 には「女性は七歳で腎気が盛んになり十四歳で月経がはじまり、二十八歳で身体機能性機能のピークを迎え、四十二歳で気血が衰え顔色も悪くなり始め白髪も生え、四十九歳で腎気が衰弱して閉経となる。」と言うような記述があります。これは女性の体の節目は七の倍数の年齢に訪れ、成長・発育・生殖機能をつかさどる「腎」の働きは概ね四十二歳で下降しはじめることが経験的に観察されていたということが出来ます。

中医学で言う「腎」と言う概念は、全身の陰と陽をつかさどる機能があります。陰には体に、潤いを与え、余分な熱を冷ます「水」の働き、陽には体を温める「火」の働きがあります。「腎虚」になると両者のバランスが崩れ、様々な障害が現れてきます。更年期初期や辛い物が好きでストレスをためやすい様なタイプの人は、腎陰虚(症状の一つとして、潤す働きの低下)になりやすく、ほてり、多汗、夜なかなか寝付けな、などの熱の症状があらわれてきます。逆に冷え性の方は腎陽虚(温める作用の低下)をもたらし更に足腰が冷えてだるかったりむくんだり、手足の先が冷えるなどの寒の症状が現れやすくなります。

ストレスがさらに「腎虚」を促します

千代田漢方内科クリニック「腎虚(じんきょ)」に加えて更年期障害の誘発原因となるのは「肝(かん)」の機能が低下する肝気鬱結(かんきうっけつ)があります。「肝」には気の巡りをつかさどり、精神状態や自律神経のバランスをコントロールする働きがあります。

四十歳を過ぎると子どもの独立、親の介護、夫婦関係の見直しなど家庭内の状況が変化し、心身ともに疲れ安い時期となります。これらのストレスは「肝」に影響して気の巡りが悪くなり、些細なことでもイライラしたり、怒りっぽくなったり、頭痛、耳鳴り、めまい、程度が進むと塞ぎこむなど不定愁訴のなやまされることになります

40歳を過ぎたら予防のために「補腎」をしましょう

47歳主婦のCさんは2年前子どもの大学受験でかなりのストレスを感じ、そのため夜寝つきが悪くなり、夜中に何度も目がさめて、体重も5kg減少。生理周紀も乱れがちになりました。最近では、のぼせ、多汗、顔が赤い、イライラ、肩こり、めまい、等の症状が毎日見られ、ふらふらして倒れそうになることもしばしばあり、半年前から生理もこなくなりました。病院では、「更年期障害」と診断され、精神安定剤を処方されましたが、1週間服用しても症状は改善されず、ホルモン療法を進められました。しかし、服作用が心配だったので、漢方治療を受診されました。

千代田漢方内科クリニックCさんの状態は「腎陰」が不足したため体を潤わす作用が低下し、のぼせ、多汗、顔が赤い、めまい、などの症状が現れたもので、不眠気味であったためさらに「腎虚」を進行させた症状ということができます。実は、体の陰とは通 常夜睡眠をきちんととることによっても補うことが出来ると考えられているのです。ですから不眠症状が続くと体を潤す陰分が不足し、寒熱のバランスが崩れ、余った熱が症状となって出てきます。
弁証(中医学の診断)は、「腎陰虚・肝火鬱結」(腎陰虚と肝鬱があり、体内の陰陽バランスが崩れ余分な熱がこもっている状態)と考えられます。治療法則は肝腎の陰分を滋養して熱を冷まし、全身の陰陽バランスを整え、血の巡りを改善することを目的に処方がなされました。 処方は「杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)・加味逍遙散(かみしょうようさん)・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」を約3ヶ月の服用で症状もなくなりました。

更年期障害に対する漢方治療は、四十歳を過ぎてから積極的に補腎に努めることで症状を軽くすることが出来ると言う点が特筆できることだと考えています。ですから、普段の生活でも補腎作用のある食物を多く食生活に採り入れ、日常生活では、十分な睡眠、ストレスの発散、適度な運動を心がけるとよいでしょう。逆に体を冷やしたり(冷たいものの食べ過ぎ飲みすぎ、伊達の薄着)、夜更かしをしたり、辛い物を食べ過ぎたりしないよう注意しましょう。
食品では、枸杞子、黒豆、黒胡麻などを多く取りましょう。また養生としての漢方では、六味地黄丸(ろくみじおうがん)(冷えのある方は八味地黄丸(はちみ じおうがん))や杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)などを用いると効果 的です。

アトピー性皮膚炎について

千代田漢方内科クリニックアトピー性皮膚炎の治療は、脾と腎を補い体質改善から

最近アトピー性皮膚炎で悩んでいる方で、漢方治療を受けにみえる患者さんが増加しています。中には一般 の皮膚科でステロイド外用薬などによる治療を長年続けながら、症状は一進一退を繰り返し、「このままいつまでもステロイド剤から離れられないのではないか?漫然と使用していていいのだろうか?」という心配をお持ちになり、漢方薬による治療に切り替えたいとご相談にみえる患者さんが少なくありません。

これからお話しいたします症例のB子さんも、そんな方の一人でした。

ステロイド剤使用の恐怖を克服

千代田漢方内科クリニック25歳の会社員であるB子さんは、三ヶ月前の初診時には、顔が真っ赤に腫れ上がっており、首はひびが割れたようになり、痒みがひどく掻いたあとが一部ジュクジュクとしている状態でした。幼少より皮膚科でアトピー性皮膚炎と診断され治療を続けてきましたが、ステロイド剤の長期使用による副作用の恐怖から独断で薬をやめてしまい、症状が急激に悪化してしまったということでした。
さらに1ヶ月前に悪寒、発熱、頻尿などの症状があり白血球数も減少し、病院で腎盂腎炎(じんうじんえん)と診断されました。
一般的にステロイド剤を急に止めてしまうとリバウンドで症状が悪化してしまうことが知られています。本来は、先ずステロイド剤と漢方を併用して強い炎症状態を抑え、症状が少し落ち着いたところで、漢方薬の治療に移行していく方法がよりよいのですが、今回の場合は、ご本人の希望によりステロイド剤を一切使わずに漢方のみで根気強く治していくことにしました。、

千代田漢方内科クリニックオリジナルの煎じ薬でまずは症状緩和を

B子さんの場合は、体の中に余分な熱がこもっている状態(血熱、風熱)なので、まず、この熱をさまして毒を追い出す治療(清熱解毒)方針で、十五種類の生薬をブレンドした処方を組み立てました。漢方のいいところはその人の体質や症状にぴったり合った生薬を自由に使えることでシャープな効き目を期待できることです。
B子さんには、熱をさまし毒を出す、血行をよくする、皮膚に潤いを与える、皮膚の防衛機能を高める、胃腸を強くする、痒みを止める、ストレスを発散しやすくする、便秘を解消するなどの作用のある生薬をブレンドしました。
これらを煎じて毎日服用してもらい、二番煎じを浴槽に入れて入浴剤として使ってもらうようにアドバイスしました。こうして、体の内側からと外側から、両方向から働きかけることが重要になります。アドバイス通 りにまじめに服用してくださったB子さんは、1週間を過ぎたころから痒みが徐々に減り始め、2ヶ月後には赤みもとれてきました。
しかし、今度は皮膚の乾燥が目立つようになり両腕と首がごわごわするようになってきたため、潤いを与える作用のある当帰飲子(とうきいんし)に数種類の生薬を加えた処方に切り替えました。現在は、空気が乾燥したり仕事のストレスがたまると悪化しがちですので、完治とまでは言えませんが、症状は安定しており漢方薬のみでアトピー性皮膚炎と上手に付き合われています。
アトピー性皮膚炎の治療で注意を要するのは、すでにステロイド剤を使用している場合、自分勝手な判断で急に使用をやめてしまうのは危険だということです。皮膚の症状が重症化したり、急激な副腎皮質ホルモンの低下による腎盂腎炎や白血球の減少などが見られる体に対するダメージが大きいといえるからです。ですから、医師の指導の下で様子を見ながら徐々に減らしていくのが、回り道のようでもステロイド剤からの確実で安全な離脱方法だといるでしょう。

皮膚は内臓の鏡、心の窓、そして・・・

千代田漢方内科クリニック東洋医学では、「皮膚は内臓の鏡」という考え方があります。単に湿疹といっても 赤みを帯びているのは炎症があり(熱証)赤くじくじくしているのは、炎症と水分過剰(熱証+湿邪)、かさかさになっているのは、血と水の不足(血虚陰虚)、ごわごわと硬くなっているのは血流の滞り(お血)など、症状により体内の状態は異なります。つまりこれらは、内臓の状態が皮膚という体の表面 に反映されているということなのです。一人ひとりの状況を把握し、内臓の機能を改善していくことが、東洋医学的アプローチの基本です。
また、「皮膚は心の窓」という言い方もよくされます。人目にさらされる顔や腕に症状が出ることの精神的苦痛は、周囲の想像以上に大きく、ストレスが症状をさらに悪化させるという悪循環に陥りがちです。学校や職場の環境が変わる新年度に症状が悪化し易いのも、心理状態の皮膚に及ぼす影響が大きいことの表れだといえます。ご自身でストレスを発散する方法を実践することと同時に、治療面 ではカウンセリング的な要素を取り入れながら心のケアをおこなうようにしています。

そして、お薬を服用するということ以上に大事なことは、実は患者さん自身の生活習慣なのです。例えば食習慣では、アトピーの症状がひどいのに、脂っこいものを好んで食べる、間食にスナック類などの袋菓子が手放せない、アルコールは毎日、などのような方が結構多いのも現実です。これらの食べ物は、体内に余分なエネルギーとして蓄積され、熱の症状をさらに悪化させる原因の一つにもなっています。
また、入浴などでは熱いお湯にさっと入るのではなく、38℃程度のぬ るめのお湯につかり、石鹸やシャンプーは無添加低刺激やオーガニックのものを使うようにして皮膚に対する刺激を少なくするとよいでしょう。体を洗う際も皮膚をごしごしこすらないようにして、湯上りには保湿クリームを塗るなどして潤いを保つようにします。
さらに体の中から潤いを与えることも大切です。空気が乾燥する秋から冬にかけては、体の中から潤いを与えるような食べ物(肺の機能を高める銀杏,はちみつ、白きくらげなど。腎に潤いを与える山芋、くるみ、ざくろなど)を摂ると良いでしょう。
このように、環境要因も含めた生活習慣を良いレベルに保って生活していくことが回復への第一歩ともいえるでしょう。

春の花粉症について

春の花粉症について

千代田漢方内科クリニック昨年の夏が暑かったため、今年春のスギ花粉量 が多いと推測され、花粉症患者にとってはまさに悪魔の季節がやってきます。

<花粉症の症状>
症状は主に鼻と眼に現れ、アレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎が同時に発病した状態が一番多いと見られます。 その他の症状も含めて、以下のようなタイプに分けられます。

<鼻症状>くしゃみ・水様性鼻汁・鼻閉 鼻孔周囲の痒み。鼻閉は、長時間続き、約40%の患者は口呼吸を必要とする。口呼吸により口腔咽喉の乾燥、咽頭炎の併発、睡眠障害、精神作業障害、いびき、頭痛などの二次的障害を起し、生活のQOLが影響されます。
<眼症状> 痒み・流涙・羞明・眼球・眼瞼結膜の充血。
<咽頭症状> 痒み・痛み。咽頭の発赤。 咳・喘息の症状。 顔面・外耳道の痒み。
<感冒様症状> 頭痛・寒気・熱感・全身倦怠。
<消化器症状> 胃部膨満感・腹痛・軟便。

千代田漢方内科クリニック春花粉症の東洋医学的な考え方は

水様の鼻水が大量にでるから、水毒症(水毒症は、むくみ、冷えなどの症状が中心の症のことをいいます ) として捉えられることが多いです。
代表的の治療薬は小青竜湯が一般的に知られています。しかし、小青竜湯などの辛温薬ではかえて結膜炎、のどの炎症、口渇などの症状を悪化する症例が多いため、水毒症では説明つかないところが多いです。
春風とともにやってくる花粉は一種の外邪(外部から病気を引き起こす原因のことを外邪といい。風邪ウイルスは一種の外邪 )であり、症状からみれば花粉の性質は風邪、熱邪に属します。風邪は変化激しい、痒み、顔面 部を襲うなど特徴があります。
春の強い風にのって飛んできた花粉は、強くなったり弱くなったり、その時々により吹き方が違う。年次、季節、時間帯などその時々により、花粉症の程度に大きな違いがあるなどから「風邪」たる所謂であります。熱邪の性質は、熱炎症を起こします。体液を消耗し、乾きをもたらします。花粉症には鼻粘膜の炎症、眼の炎症、口の乾きなどの症状からみれば熱邪の性質に該当します。スギ・ヒノキ花粉は、前年の夏が暑ければ暑いほど飛散量 が多くなり、花粉症も重くなります。花粉の中に、前年の夏の暑さが濃縮し詰め込まれている如くであり、熱邪の性質を持っていると考えます。

<風邪による症状>
痒みを起す:鼻・眼・顔面・外耳道・咽喉など、花粉が付着した部位 が痒くな る。
時に、花粉が肺に侵入し、胸中の痒みと咳。喘鳴が出現することが多い。
女性では外陰部に痒みが出ることがあります。
<クシャミ>
風の吹き方によって、症状の強弱に大きな違いがあります。 熱邪による症状 充血・炎症を起す。眼球・眼瞼結膜・鼻粘膜・咽頭が発赤腫脹する。 鼻粘膜の充血・炎症によると考える。 鼻閉が長時間続くのは、熱邪が強いためと考える。
<鼻汁>
水様性鼻汁は、必ず寒証を意味しない。スギ・ヒノキ花粉症では、熱邪により鼻粘膜が充血し、鼻粘膜中の水分を焙りだして、水様性鼻汁がでると考える。 尚、黄色鼻汁を呈するものは、熱邪・炎症が強いことを示す。
< 咽頭痛 >
咽頭の充血・炎症による痛みが出現する。 スギ・ヒノキ花粉症は、前年の夏の暑さが反映される。スギ花粉の雄花は、前年の夏の気温が高いと多く作られ、気温が低いと少なくなります。 気温の高い日・時間帯に症状が強い。

結論

千代田漢方内科クリニック花粉症は水毒症ではなく、一種の温熱病(発熱、炎症などが中心としての病気を温熱病といいます)である
水毒症とは体内の水分代謝異常(ある種の水分の偏在)によって発生する。水が毒(病気の原因)になる状態です。
身体四肢のむくみ・四肢関節の腫れと痛み・胃腸病・下痢・嘔吐・めまい・動悸・メニエル氏病・精神異常・高血圧・腎臓病・痛風・気管支喘息・痰・鼻水・膀胱炎・前立腺異常・おりもの・冷え・身体の重だるさ・頭重・胃中水分停滞・小便が出にくいなどは,そのほとんどが水分代謝異常(ある種の水分の偏在)によって引き起こされる<水毒症状>です。基本的は体自身の機能低下から生じるものであり、年配者、ひえ症の方が多く見られます。
一方、花粉症は風とともにやってくるため、明らかに外感病(外邪による病気のことを外感病といい。風邪などは外感病の一種)の一つです。また、老人、冷え症、体力低下する人の花粉症が少ない。逆に若くて元気な人、陽気の人、食欲旺盛、汗かき、肉つきがよい人が花粉症多いようです。
野球選手も花粉症に悩まされることが知られています。

さらに、顔面 部は陽気が反応する場所であり、眼・鼻・口などから花粉が侵入して、陽気にあおられ、花粉の熱が増す。その結果 、眼・鼻・咽の充血・炎症が強く出る。
従って、花粉症は風熱外邪による一種の温熱と考えます。
小青竜湯などの辛温薬は、熱邪を助長する可能性があるため注意を要する。

どうやって治療するの?

代表的の処方としましては、
五虎湯、川キュウ茶調散、清上防風湯、桔梗石膏エキス、竜胆瀉肝湯、麦門冬湯などがあります。
これらは体質、症状、発病の時期などにより、使いわけることが必要です。

症例

女性、28歳(中肉中背)の場合

初診:2003年2月10日
現病歴:5年前からスギ花粉症を発病、今年2月になってから眼の痒み、鼻水、くしゃみ出現。
処方:五虎湯と川キュウ茶調散エキス。7日分。

再診:はじめのうちに服薬した後2・3時間楽だったが、次第に眼症状悪化し、眼科受診した。リザベン・フルメルトンを点眼しても、眼が真赤に腫れ、眼の周りが爛れている。
処方: アレジオン(20mg)7日追加。

三診:眼の症状改善なし。最近、鼻つまりが一日中に続く。特に夜間が強く、熟睡できない。時々鼻血が混じる。鼻とのどの奥が熱く、息も熱い、のどが乾く。
大便2日に1回。
処方:清上防風湯、竜胆瀉肝湯エキス、7日分。

四診:服薬したその夜から鼻つまりが軽減、熟睡できるようになった。
2日後から眼の痒み、眼の周りの爛れ軽減。鼻・咽・息の熱さ・口渇も気にならなくなった。

考察:清上防風湯の清上は、上(顔面 部)の熱を清す、防風は、熱邪を助長しない風邪を拒風薬で風邪を去るという意味です。 竜胆瀉肝湯は、肝火上炎(頭痛・耳鳴り・眼赤・結膜炎など) 肝胆湿熱(排尿痛、帯下、睾丸炎・中耳炎)を治す方剤である。花粉症では、風熱の邪が強い、肝の経絡の症状(眼症状・陰部症状)が際立つときに用いる。

(本文は斉藤輝夫先生の監修および資料提供によるものです。)

耳鳴り、難聴について

千代田漢方内科クリニック耳鳴り、難聴について

中国医学では、「腎は耳に開竅(かいきょう)する」といいます。
(開竅(かいきょう)とは竅(穴)を開くという意味で、内側にこもった邪悪なものを外に出すという事。簡単に解釈しますと腎は耳、つまり聴力に反映されやすいということを意味します。)
また耳は肝胆の経絡ともつながっています。急性の耳鳴りの場合は肝気鬱滞、肝火上炎などの肝胆に関係することが多く、慢性の耳鳴りは腎の精が虚弱するによることが多いと中医は考えます。特発性難聴など急性の耳鳴り、難聴は、西洋医学的に治療はまず行われるのが一般 的です。しかし、慢性の耳鳴や難聴に対しては効果的な西洋医学の治療がありません。
漢方は耳鳴りについて独自の理論と治療方法があり、ここで実際の症例を通 してご紹介いたします。

どうやって治療するの?

症例

A子さん(主婦、58歳)が突然の耳鳴りを訴えてこられたのは、半年前のことでした。
「急に激しいめまいが起きたかと思うと、耳が塞がったような感じがして、それから耳が聞こえなくなりました。驚いて耳鼻科にいくと、診断は突発性難聴。ステロイドとビタミンを処方されたのですが、2週間を飲んでもよくなりません。以前、更年期障害で漢方治療を受けたことがあり、今回も効くのではないかと思って来てみました。」

疲れた様子が気になり、最近、何かきっかけとなるような出来事がなかったかどうかを聞くと、「高齢で病気がちの母親を家に引き取って面 倒をみているのですが、そのことで妹と大喧嘩してしまいました。看病疲れと喧嘩によるストレスがかなりたまっていたかもしれません。そのせいか、もともと不眠の傾向があったのですが最近ますます眠れなくなり、いらいらしたり落ち込んだりと感情の起伏が激しいのです。」同時に頭痛もあり、血圧も上昇。ストレスがピークになったところでめまいと耳鳴りが始まったようです。 、

千代田漢方内科クリニック原因は?

腎虚と肝気鬱滞が原因
A子さんの症状の根本には腎虚があります。
東洋医学の腎は、西洋医学の腎臓を指すのではなく、生殖器系、内分泌系、自律神経系などの生命活動を維持する基本的な機能全般 を表し、いわゆる老化現象は腎の機能を衰える腎虚の状態とみなします

A子さんの場合も、更年期をきっかけに体力の低下がみられ、腰がだるい、体が火照り、のどが渇きやすい、睡眠障害などがあり、これらは腎陰虚(腎陰つまり体液や栄養不足している)と腎精不足(生命エネルギー不足)の症状と考えられます。
また、「腎は耳に開竅(かいきょう)する」といわれるように人腎精不足は耳に影響を与え、耳鳴りや難聴などの聴力障害を引き起こします
さらに、看病疲れや喧嘩によるストレスは、五臓の中の肝に影響を及ぼします。肝気鬱滞(肝気の流れが滞る)と肝火上炎(肝気の鬱滞に熱が帯びて上に上がる)によって、頭痛、めまい、耳鳴りが起こったと考えられます。

「標治から本治へ」

千代田漢方内科クリニック治療の原則は「標治から本治へ」
中医学の治療原則の一つに「急ならばその標を治す(標治)、緩ならばその本と治す(本治)」(急性の場合は症状を治し、落ち着いたら根本の原因を治す)という言葉があります。
A子さんの治療もこの原則にのっとり、まずは『標治』として、症状を抑えるために清肝瀉火・セイタンシャカ(肝の火を消し、熱を冷ます)の作用のある竜胆瀉肝湯(リュウタンシャカントウ)と、めまいを抑える半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ ) を加味した処方をしました。一週間飲み続けると、急激に症状が改善しました。体の火照りが少し治まり、耳の閉塞感やめまいもなくなり、耳鳴りも以前ほど気にならなくなったのです。
これらの薬は作用が強く、長く飲み続けると胃腸に負担かかったり体を冷やしたりするので、症状が七、八割ほど緩和したところで『本治』に移しました。腎虚に対する補腎の薬を中心に、肝気の流れを良くする穏やかな効き目の薬を補うことにしました。処方は、耳聾左慈丸・ジロウサジガン(補腎と難聴の薬)と柴胡清肝湯(サイコセイカントウ)。一ヶ月後には、完治といっていいくらいに症状が治まりました。
慢性の耳鳴りや難聴には補腎の薬が第一選択となりますが、脾気不足(消化吸収能力の低下)が見られる場合は胃腸の虚弱を改善する益気聡明湯(エッキソウメイトウ)、補中益気湯(ホチュウエッキトウ)を加えて処方します。
またストレスによる急性の症状に対して、A子さんのようにいらいらして怒りっぽいタイプには肝の火を鎮める竜胆瀉肝湯を用いますが、逆に抑鬱タイプの人にはストレスを発散させる加味逍遙散(カミショウヨウサン)、四逆散(シギャクサン)などが用います。

千代田漢方内科クリニック早期治療が大原則

A子さんの治療を成功した背景の一つに、早期治療に取りかかれた点があります。
突然耳が聞こえなくなる突発性難聴は、西洋医学では原因不明とされていますが、精神的・肉体的疲労時や睡眠不足のときにおきやすい病気です。また朝食抜きなど不規則な生活も発症の危険因子となります。
一般的に突発性難聴は発症後一?二ヶ月以内にきちんと治療しないと、聴力が落ちたまま固定してしまうと言われています。日常生活を改善しながら、いかに早く適切な治療を行えるかが大きなポイントとなります。
耳鼻科のスタンダード的の治療は、ステロイド剤、血管拡張剤、ビタミンE、高気圧酸素療法などがあります。それで症状が治まればよいのですが、効果 が得られないまま何ヶ月も経ってから漢方治療に訪れる患者さんが多いのが現実です。

 一概に漢方治療だげでよいとはいえませんが、時期を逸しないよう、A子さんのように耳鼻科治療で思うような効果 が見られないときに早めに漢方治療に切り替えるか、耳鼻科と同時進行で漢方治療を進めるのがよいでしょう。

風邪、インフルエンザの漢方治療について

千代田漢方内科クリニックインフルエンザ対策はできていますか?

11月に入ってから気温が急激にさがり、空気も乾燥して、風邪やインフルエンザの流行が気になる季節となりましたね。
厚生省ではインフルエンザに対して予防を呼びかけています。特にお子さんやお年をめした方、また体力の低下している人は予防接種をできるだけ早めにすませておきたいですね。一般的にはインフルエンザ対策としてワクチンが勧められていますが、インフルエンザウイルスは様々なタイプがあるので、ワクチンの効果がないケースもあります。

そのような場合には、まず十分に休養をとり、食養生を行い、過労やストレスを避けて、体力や免疫力を高めることを心がけましょう
また、インフルエンザウイルスは鼻や咽喉などから飛沫感染しますので、人ごみを避けて、外出後はしっかりと手洗い、うがいを行うことも大切です。

インフルエンザの漢方治療とは

千代田漢方内科クリニックインフルエンザに感染すると、急に発症する38度以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛などに加えて、咽喉痛、咳、鼻炎などの症状も見られます。通常は約1週間ほどで治りますが、小児や高齢者などの免疫力が弱い方は重症化することがありますので、注意が必要です。
インフルエンザの予防にはワクチンが有効です。患者にはマスク、うがい、歯磨き、手洗いを励行させましょう。インフルエンザ特効薬(タミフルなど)は発病48時間以内に服用すると、ウイルスの増殖を抑えられ、症状を軽くする事が期待できます。
一方、子供に使う場合は、精神障害による異常行動や突然死も発生した例があり、油断はできないのが現状です。

お子さんへの処方がやはり不安だと感じられたり、特効薬や予防接種の効果が見られない場合、風邪のタイプ、風邪の段階を見極め、状況に応じて漢方を適切に使うことによって特効薬より優れた効果を得られることができます。

千代田漢方内科クリニック一般の風邪は、風寒型と風熱型に分けられる

まずは、一般の風邪についてお話ししましょう。
いわゆる「風邪」は漢方医学では「風寒型」と「風熱型」にわけられ、それぞれ漢方治療の方法も異なります。
風邪をひいたかな?と感じられたら、以下の例を参考にしてご自分の症状がどちらの型なのかを見てみてはいかがでしょう?より効果的な治療法が見つけられるかと思います。

<風寒型>
ぞくぞくした寒気がする、悪寒が強く後に発熱、頭痛、関節痛、汗をかかない。
対処方法:葛根湯、麻黄湯、麻黄附子細辛湯、柴胡桂枝湯
体を温めて、生姜湯、卵酒などの飲むと良いでしょう。
ポイント:思い切り汗をかかせる。まめに水分補給をしましょう。

<風熱型>
熱が出る、のどが痛い、黄色鼻水がでる。
対処方法:天津漢方片、銀翹散、桔梗湯、小柴胡湯加桔梗石膏、辛夷清肺湯
ポイント:体を温めて、頭を冷やし、みかんなどを食べてビタミンCの摂取をしましょう。

千代田漢方内科クリニック現代人の風邪の特徴と漢方治療

ここでは、現代人の風邪の特徴をタイプ別でわけています。
みなさんは風邪をひかれた時どのような症状が多いでしょう?

胃腸タイプ
風邪を引くと下痢、軟便、悪心、嘔吐など胃腸タイプが多い。
そのため、参蘇飲(じんそいん)、六君子湯(りつくんしとう)、香蘇散(こうそさん)、茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう)、清暑益気湯(せいしょえっきとう)、五苓散(ごれいさん)などの処方が多く使われる。

冷え症のタイプ
冷え、だらだら風邪を長引くタイプが多い。
そのため、人参湯(にんじんとう)、真武湯(しんぶとう)などがよく使われます。

咳が長引く、咳喘息タイプ
風邪の後、咳が長引く、或いはのどがイガイガから咳が続く。
麦門冬湯(ばくもんどうとう)、滋陰至宝湯(じいんしほうとう)、六君子湯(りっくんしとう)がよく使われます。

いかがでしたでしょうか?
一口に「風邪」と申しましても、その症状のタイプは様々ですね。ご自身によくあらわれる症状をタイプ分けしてみるのも良いかと思います。

千代田漢方内科クリニックインフルエンザの漢方治療

さて、漢方医学ではインフルエンザの場合も「風邪」と同じくそれぞれの症状に応じて処方される漢方や治療方法が異なります。
漢方医学のバイブルである傷寒論はインフルエンザのような急性発熱性疾患に対して病位を三陰三陽にわけ、病気の進行、病位の変化に応じて治療します。

<太陽病>
風邪やインフルエンザの初期に見られる頭痛、悪寒、発熱、項強、脈浮。
麻黄湯など強く発汗を促す麻黄を配合された解表剤が適応します。
葛根湯(かっこんとう)、麻黄湯(まおうとう)、大青竜湯(だいせいりゅうとう)

<陽明病>
風邪やインフルエンザの極期には高熱、うわごとをいい、悪寒がなく、顔面高潮、口渇し、冷たい水分を欲しがる、舌に黄苔があり乾燥、尿は黄赤色で量がすくない、便秘。
大黄(だいおう)、黄連(おうれん)など清熱瀉下薬の配合された清熱瀉下剤で瀉下させて対応します。

<少陽病>
風邪、インフルエンザを3、4日経過して熱が上がったり下がったりし、口が苦く、口渇、胸脇苦悶を来たすようになります。
小柴胡湯など柴胡が配合されていた和解剤で対応します。
小柴胡湯(しょうさいことう)、柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)

<太陰病>
身体が虚弱のため生体の防衛反応が弱く、風邪の引き始めからすでに発汗、鼻水、動悸、腹満、おなかが冷えるなど。桂枝が配合された解表剤である桂枝湯類で軽い発汗させ対応します。
桂枝湯(けいしとう)、小建中湯(しょうけんちゅうとう)、黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)

<少陰病、厥陰病>
高齢者など生命力が低下して、だるさ、冷え、下痢、いつまでたっても風邪が治りきらない状態、上熱下寒。
真武湯などで温裏剤を使い、生命力を高めます。
真武湯(しんぶとう)、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)、大防風湯(だいぼうふうとう)、小建中湯(しょうけんちゅうとう)、黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)、当帰湯(とうきとう)、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)など。

たくさんありましたが、ご理解いただけましたでしょうか?
これらのお話を、ぜひご自身の治療の際に役立てて頂けたらと思います。

お茶で風邪の簡単予防を

中国の家庭や学校では、風邪やインフルエンザが流行する時期に板藍根(ばんらんこん)を煎じて飲んだり、うがいをすることが常識になっています。板藍根は副作用が少なく、予防にも治療にも効果的です。昔の人が経験で発見した「天然の抗ウイルス薬」といったところでしょうか。

当クリニックでは飲みやすい顆粒タイプの「板藍茶」や「スコリス茶」(板藍根、甘草、五味子を配合したお茶)も大好評です。ご興味のおありの方、一度飲んでみたいと思われた方はメールやお電話などでお気軽にお問い合わせくださいませ。

不妊治療において漢方の役割及び効果について

現代社会における不妊治療について

千代田漢方内科クリニック晩婚、高学歴、結婚してもすぐに子供は作らない、気がついたらもう三十代…。
漢方医学では「女性は7年」「男性は8年」の周期で体が変化して、女性は35歳、男性は40歳を境に体が衰えていくと考えます。これは現代医学もほぼ同じ認識を持ち、実際のところ、女性は35歳を過ぎると体が衰え始め、自然妊娠率も20代と比べて、ぐんと下がります。
また、女性の社会進出が進む現代、結婚後も働く女性が多くなりました。職場、家族などの人間関係を中心とした社会的因子から生ずる精神的、肉体的ストレスも少なくありません。そんな現代において、不妊は、妊娠によって母体にもたらされる負担を未然に回避する、ひとつの母体保護のための自衛的反応と考えられます。

不妊の一因に対する考えかたは?

不妊の一因「卵巣機能や体の衰え」に対する考え方

年齢による卵巣機能や体の衰えは漢方医学では腎虚(じんきょ)と考えます。
漢方医学でいう腎とは、腎臓はもちろん、副腎・女性の子宮・卵巣、男性の睾丸、膀胱などの泌尿生殖器をあわせていいます。
腎は、人間の生殖、成長、発育を担うエネルギー源「精」を蔵していると考えられ、精が充実していれば若さを保て、不足してくれば老化が進むと考えています。
腎精には親から受け継いだ生命力、遺伝子、人間が本来もっている生きる力が蓄えられています。
つまり、腎精の盛衰が発育、成長、老化の過程および生殖(子供を生む力)に強く関係してくるのです。排卵誘発剤などの使用による卵巣への負担も、この腎虚を引き起こすものと考え、補腎治療を行います

千代田漢方内科クリニック不妊の一因「ストレス」に対する考え方

漢方医学では、不妊患者さんの持つストレスをケアするため、緊張を緩和する「疎肝理気(そかんりき)」という治療法を用います。
疏肝理気の “気” とは目に見えないエネルギーのようなもので、体中を巡って、さまざまな身体活動の原動力になっています。ところが、ストレスが過度にかかると、この “気” の巡りが滞ったり、さらには血のめぐりが悪くなってしまって淤血・おけつ(血流が滞って体の各所にトラブルを招く状態)を引き起こします。疎肝理気による治療法は、不妊の大きな要因であるストレスに対して、非常に有効な治療法であると考えます。

不妊の一因「栄養不良」に対する考え方

千代田漢方内科クリニック不妊患者さんに、貧血、やせ気味、月経量が少ない、月経周期が遅れがちであるなどの症状がみられる場合、漢方では、栄養状態に何かしらの問題があると考えます。
そこで、栄養状態を改善するために、消化吸収を良くする「健脾(けんひ)」という治療法を用います。私の経験上、前述の症状に対して、非常に効果的です。
女性ホルモンと体脂肪は密接な関係にあります。正常な生殖機能を維持するために、理想的なBMI(Kg/m*2)は20~25。15以下では生理が止まり、30以上では月経不順の可能性が高まります。自分の適正体重を知る事は重要であり、適正体重を維持することは不妊治療に結びつくことになります。

不妊の一因「冷え」に対する考え方

漢方医学での不妊の直接原因のとらえかたとして、冷えが起因で淤血(おけつ)、水毒(すいどく)を来たすことが挙げられます。冷えを改善することで、血の流れ、水の流れを改善して、骨盤内の血液循環改善をはかり、卵巣ホルモンの働きを改善させて、妊娠しやすい体をつくります。

不妊治療において漢方

千代田漢方内科クリニック子宮機能不全(子宮因子)に対する漢方治療

子宮内膜増殖分泌不全、子宮筋の過緊張、卵管粘液分泌不全に対しても、体質を見極めることから治療するという方針に変わりありません。西洋医学的には子宮因子の異常はエストロゲン、プロゲステロンレセプターの機能異常と考えますが、漢方では両ホルモンの卵巣から子宮への循環障害が関与していると考えます。
循環障害を招く原因には?血、水毒、冷えなどが挙げられるでしょう。そこで、「駈?血剤(くおけつざい)」、体内の余分な水分を排泄する「利水剤(りすいざい)」の他、子宮を暖める働きのある薬が有効と考えます。
また、過緊張を和らげる薬として「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」も有効です。
その他、代表的な子宮因子である子宮内膜症・子宮筋腫は、漢方医学ではちょうか(塊)と解釈され、持続的な?血と気滞が原因にあるとします。治療剤としては「桃核承気湯(とうがくじょうきとう)」「通導散(つうどうさん)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」「加味逍遙散(かみしょうようさん)」「温経湯(うんけいとう)」などがあります。

卵巣機能不全に対する漢方治療

卵巣機能不全に対して、漢方治療は非常に有効であると考えます。ただし、卵巣機能不全の重症度が高い、特殊性がある(多のう胞性卵巣、高プロラクチン血性など)場合、西洋医学の不妊治療と併用することもあります。

卵管機能不全(卵管因子)に対する漢方治療

卵管が完全に閉塞している場合は手術などの方法で通過障害を改善するか、体外受精をするのが一般的です。ただ、中には、交感神経の過緊張により卵管が痙攣し、卵のピックアップから受精卵の移送が円滑にできないことも多く認められます。
この場合、漢方治療では疏肝理気という治療法、「駈淤血剤(くおけつざい)」「利水剤(りすいざい)」などの処方が中心です。卵管痙攣には「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」を用います

男性機能不全不妊症(男性不妊)に対する漢方治療

男性不妊の主な原因としては、造精不全(精子の量、質、運動率などに問題がある)、EDなどがあげられます。女性と比べれば、男性のほうが冷え、循環障害が少ないと考えられますが、ストレスが多い現在社会、また冷飲食が多い食生活などの原因により、男性の冷え、循環障害も軽視すべきではありません。
また、働きすぎやストレスも多く、疲れすぎている男性がたくさんいらっしゃいます。こうした要因から、体力・精力の低下などのいわゆる腎虚が目立つため、治療では腎を補う、滋養強壮剤の処方が必要と考えます。「海馬補腎丸(かいまほじんがん)」や「OGハーブ」が有効と考えられます

高プロラクチン血症に対する漢方治療

千代田漢方内科クリニックプロラクチンは下垂体という脳の一部位から分泌されるホルモンのひとつで、乳腺刺激ホルモンとも呼ばれ、通常は妊娠~分娩後授乳期間中に乳腺を刺激して乳汁の分泌を促し、排卵を抑えるように働きます。しかし、このホルモンの分泌が妊娠していないときも亢進して、無月経、無排卵、月経不順などを起こすものを高プロラクチン血症といいます。
普段はプロラクチンの値が正常値の人でも、強いストレスが続いた時や、夜間、黄体期の場合などに数値が高くなることもあります。これを潜在性高プロラクチン血症といい、排卵、月経が遅れたりすることもあります。
漢方医学的には、プロラクチン分泌の制御を司る視床下部は肝との関係が密接であり、プロラクチン分泌は肝鬱気滞(かんうつきたい)に影響を受けています。したがって、女性の月経と乳汁分泌は、五臓六腑の血が充足している衝脈から生ずるものであり、気血が虚している場合に、母体保護のため、プロラクチン分泌が多くなり、排卵を抑制して、結果的に妊娠を回避するよう働いていると考えます。そのため、治療では “女性は血をもって先天となす” という考えのもと、血を補う治療「補血」を行います。「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」などの補血薬が適応です
また、胃腸の働きは栄養吸収の要であり、これもまた、肝と関係しています。したがって、高プロラクチン血症の治療は、肝(ストレスケア)と、その上の精神を司る脳(心)と補血、健胃の3つを考えて治療することが大切です。具体的な治療方法としては、疏肝利気(そかんりき)、健脾消導(けんぴしょうどう)、安神補血(あんしんほけつ)になります。 、

PCOS(多のう胞性卵巣症候群)に対する漢方治療

PCOS(多のう胞性卵巣症候群)は排卵障害の20~40%を占めると言われています。この病気は、自力で排卵しづらいのが特徴ですから、現在の段階では排卵誘発剤を使って排卵を起こす方法はスタンダードな治療法です。漢方医学的には、PCOSを “卵巣の膜に循環障害があり、?血(血流の滞り)と痰湿(汚れた物質)がたまって硬くなっているために排卵しにくい” と考えます。そこで、この膜を柔らかくするために、血液の流れを改善する「駈?血薬(くおけつやく)」と痰湿を除く「化痰薬(かたんやく)」を、また、排卵を促すために「疏肝薬(そかんやく)」を、さらに卵子の発育と排卵させる力をつけるために「補腎薬(ほじんやく)」を用います。基本的には活血、駈痰湿、疏肝、補腎という治療を行うことで解消を目指します。

漢方と不妊治療

漢方では単に「不妊を改善する」などの効果だけを期待して治療するのではなく、患者さんひとりひとりの体質や症状に合わせて、無理のない治療方針を選び、漢方薬を処方していきます。
内臓器官や血液循環を良くすることから、健康な状態をつくりあげていくことで、結果的に不妊の改善にも効果が期待できるということなのです。
赤ちゃんは、病気になりにくい健康な体にやってきます。自分に合った漢方を上手に取り入れて、不妊の改善に役立てていただければ幸いです。

頭痛について

千代田漢方内科クリニック頭痛に悩まされている方へ

今回のお話は、日々の生活の中で頭痛に悩まされている方にご参考にして頂ければと思います。

 風邪などの頭痛とは異なり、また脳腫瘍、脳出血など器質疾患もなく、慢性的に頭痛を繰り返し発作するという症状の方が最近増えています。
これらの症状は大まかに緊張型頭痛(きんちょうがたずつう)、偏頭痛(へんずつう)、群発性頭痛(ぐんぱつせいずつう)にわけられ、いずれも漢方で治療することが可能です。またこの頭痛は内臓機能の異常が原因であることから、中国医学では内傷頭痛と言います。

拡張型頭痛

千代田漢方内科クリニック緊張型頭痛は、後好発年齢層がなく、女性に多い偏頭痛とは対照的に症状の発症に性差がありません。
症状特徴は、頭全体締め付けられるような痛み、肩こり、首こり、疲れやすい、背中の痛み、腰痛、眼精疲労などです。これらの症状は、お風呂で温まったり、マッサージなどで楽になります。
「自律神経失調症」と診断されるケースが多く、ストレス、過労などにより誘発、増悪する傾向があります。原因は肝うつ気滞(かんうつきたい)、血お(けつお)にあります。これはストレスにより気の流れが悪くなり、のちに血流も悪くなるという意味です。治療は疎肝利気(そかんりき)、活血(かっけつ)方法を用います
方剤としては、加味逍遥散(かみしょうようさん)、柴胡疎肝散(さいここかんさん)、川弓茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)、葛根湯(かっこんとう)などがお勧めです。

偏頭痛

若い女性に好発し、家族性遺伝性がみられます。月経周期に関係する月に1から3回ぐらいの強い頭痛の発作で、数時間から数日続く場合があります
頭が脈をうつようにズキンズキンと痛み、光や音にも過敏になり、酷いときは吐き気も伴います。偏頭痛には、お風呂やマッサージなどは逆に悪化す原因となり、じっと静かに嵐が過ぎ去るのを待つしかないのが特徴です。
発作が治まるとケロッとしているのも特徴の一つです。

鎮痛剤をのまないとおさまらないので、鎮痛剤を飲みすぎで逆に痛みに対して過敏になり薬剤誘発性頭痛を引き起こす場合もあります。
偏頭痛の原因は西洋医学ではストレス、女性ホルモンのバランスが悪いなどが注目されています。女性ホルモンのうちにエストロゲンが減少し、それとセロトニンになんからの影響を与えたと考えられます。これらの原因により脳内の血管が拡張して、血管周囲の神経を刺激して痛みを生じると言われています。
中医学では肝火上炎(かんかじょうえん)、痰湿(たんしつ)、水毒(すいどく)が原因であると考え、それぞれに対して治療方法があります。当院での個人的な経験では加味逍遥散(かみしょうようさん)、五令散(ごれいさん)、ごしゅゆ湯などの処方で個々の状態により使いわけることが多いですが、わりとよく効きます。鎮痛剤の飲むほどではなくなる、あるいは飲む回数を経ることができるまで改善した経験が数多くあります。

群発性頭痛

群発地震のように激しく発作する頭痛を言い、 目玉がえぐられるような痛みと表現されることがあります。群発性頭痛の原因ははっきりしないのですが、目の後ろに走る血管の炎症が原因ではないかと言われ、また自律神経のバランスが崩れる、アルコールが誘発するなどと認識されています。
治療西洋医学の治療はイミグラン、Z-migなどの薬を早めに飲むことが一番普通のやり方です。その他、酸素吸入、ステロイド療法などもあります。

中医学では、群発性頭痛に対してまず寒熱のタイプをわけて治療します。寒タイプではごしゅゆ湯、ブシ末などを用います。熱タイプと、天馬ちょとう飲などを用います。ツムラなどで出されている単純な処方ではなかなか対応に力不足ですが、できれば弁証論治(当院医師と患者様とで詳しい症状を話し合うこと)によるオーダンメイドの治療が必要です。しかし、多くの場合は発作しても年に数回だけのことが多く、それに対してある程度の期間で地道に漢方を飲む患者様は決して多くはないです。しかしながら、中医学の処方でかなりよくなった症例もございます。

潰瘍性大腸炎の漢方治療について

潰瘍性大腸炎について

千代田漢方内科クリニック今回は、潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)という病気についてお話したいと思います。

厚労省に難病として認定されている「潰瘍性大腸炎」の患者数は、104,721人(平成20年度特定疾患医療受給者証交付件数より)と報告されており、毎年おおよそ5,000人あまりの増加の一途を辿っています。 発症年齢のピークは男性で20~24歳、女性では25~29歳にみられますが、若年者から高齢者まで発症します。男女比は1:1で性別による差はありません。
潰瘍性大腸炎とは、主として粘膜を侵し、しばしばびらんや潰瘍を形成する原因不明の大腸のびまん性非特異性炎症です。
医科学国際組織委員 (CIOMS)では「主として粘膜と粘膜下層を侵す、大腸特に直腸の特発性、非特異炎症性疾患。30歳以下の成人に多いが、小児や50歳以上の年齢層にもみられる。原因は不明で、免疫病理学的機序や心理学的要因の関与が考えられている。通常血性下痢と種々の程度の全身症状を示す。長期にわたり、かつ大腸全体を侵す場合には悪性化の傾向がある。」と定義しています。

いまだ病因は不明でありますが、現在では遺伝的因子と環境因子が複雑に絡み合って、なんらかの抗原が消化管の免疫担当細胞を介して腸管局所での過剰な免疫応答を引き起こし、発症と炎症の持続に関与していると考えられています。

使用される薬剤は多数ありますが、主なものには、5‐アミノサリチル酸製剤、ステロイド薬、アザチオプリンや6-メルカプトプリンなどの免疫抑制剤、抗生物質、整腸剤、下痢止め、抗アレルギー薬などがあります。または免疫抑制剤及び白血球除去の透析治療があります。しかし、残念ながら、まだ根本的に治すことのできる治療法は発見されていません。緩解期をいかに長く保つか、ステロイド薬など薬物による副作用を抑えながら大腸の炎症を効果的に抑えていくかなどが、大きな課題となっています
また、薬剤の効果が得られない、または薬剤アレルギーの患者さんもおられます。

潰瘍性大腸炎とは?

まずは、潰瘍性大腸炎の中医学的とらえ方からご説明致します。

「潰瘍性大腸炎」は、中医学では腸風(ちょうふう)または痢疾(りしつ)という病名に該当します。

原因は情志失調(ストレスや自律神経失調など)、飲食不正などにより内臓臓器の不調が重なって発症すると考えられていています。臨床の症状により大腸湿熱証、肝鬱脾虚証、脾虚失運証、腎陽虚衰証の病型に分けて治療します。

大腸湿熱証の特徴:
潰瘍性大腸炎の初期によく見られる病型で、腹痛、激しい下痢、排便してもすっきりしない、残便感、肛門付近に熱感を感じる、膿血便などの症状があります。

肝鬱脾虚証の特徴:
ストレスを感じたり、緊張したときにいきなり下腹部が痛み下痢になる、排便後は痛みが軽減する、わき腹が張ったり、食欲不振などの症状があります。
脾虚失運証の特徴:毎日何回も慢性的な下痢症状がつづきお腹がいつも張っていて、ゴロゴロ鳴ったりする、便に不消化物が混じる、食欲がなく、やせて疲れやすいなどの症状があります。

腎陽虚衰証の特徴:
長期間に及ぶ慢性的な下痢、粘血便、特に明け方や早朝に発作的な下痢がある、手足が非常に冷える、足腰に力が入らず立っているのもつらいなどの症状があります。
急性期は大腸湿熱型が多く、慢性期または寛解期は肝鬱脾虚、脾虚失運、腎陽虚衰が多いが、実際の場合はもっと複雑で混みあっていることが多いです。
個々の患者さんのその時の状態に合わせて証を弁別した上にオーダメイドな治療が必要です。

潰瘍性大腸炎の治療は?

千代田漢方内科クリニックそれでは、中医学的治療について詳しくお話いたします。
漢方による治療には、以下の2つの原則がございます。

治療の第一原則:
急性期は「腸垢有者有熱也」という認識があり、つまり腸に膿、粘血があれば、いかなる場合でも清熱解毒薬を投与するということになります。
舌苔が黄色で厚い湿熱タイプには金銀花(キンギンカ)を中心にした清熱解毒剤の葛根黄連黄ゴン湯(カッコンオウレンオウゴントウ)+清熱涼血止血剤(馬歯?(バシケン) 紅藤(コウトウ) 蒲公英(タンポポ) 金銀花 連?(レンギョウ) 負?草 白頭翁(ハクトウオウ)など)が基本です。
利湿の木香(モッカ)は黄連に合わせると香連丸(コウレンガン)になり、個人的には欠かさずに用いています。
方中の葛根は消炎解熱剤で、黄連と黄ゴンは腸管の炎症を抑えて下痢を止めます。発熱を伴う潰瘍性大腸炎の急性期に応用可能な薬方です。

治療の第二原則:
寛解期には、理中湯で温中健脾し、黄連で腸の湿熱の残った邪を除くという考えの下に、木香(モッカ) ?榔(ピンラン) 枳実(キジツ)などを併用します。
下痢が止まらず、治療困難な場合には、烏梅丸(ウバイガン)などが有効です。
烏梅丸は烏梅 細辛(サイシン) 川椒(センショウ) 附子(ブス) 干姜(カンキョウ) 桂枝 黄連 黄柏(オウバク) 当帰 人参などからなる方剤(調合した薬剤)ですが、人参、当帰などの補益剤は、「温中散寒」という治療方法です。
主薬の人参は、副腎皮質に働いて、副腎皮質ホルモン分泌を促し、また性ホルモン分泌も促進します。即ち強壮作用があるとともに、ステロイドホルモン様作用があります。さらに気虚の状態を改善して消化吸収を促進し、下痢を緩和する方向に働きます。
乾姜(カンキョウ)は消化管の血流を高め、結果的に脾胃の冷えを除く、再発予防につながります。

潰瘍性大腸炎の症例

ここで、実際に当院での症例をご紹介いたします。

S.Hさん 昭和41.12生まれの男性、会社員

22年5月13日に初診
平成8年、初めて潰瘍性大腸炎を発病、ぺンタサにて治療されました。一旦治癒したが平成13年に再発。プレドニン30mg、サルトピリン、アザニンで治療にもかかわらず、毎日7、8回の排便に血液、粘液を混ざり、腹痛が激しい。
担当医からは免疫抑制剤、及び血液透析で白血球除去の治療がすすめられたそうです。
本人は思い悩んまれたため、漢方の門を叩くため当院に受診されました。

弁証:湿熱内盛、脾虚肝鬱 
治療:清熱利湿止血、疎肝健脾

煎じ薬:オウギ、ケイシ、シャクヤク、コウイ、カンキョウ、ニンジン、ビャクジュツ、モッコウ、オウレン、トウニン、タイソウ、センカクソウ、サイコなどの生薬で一週間分を処方いたしました。

22年5月20日 に第二診
1日7、8回の血液便、粘液便のところ、今一日5回程度。
そのうち半分はガスのみ。腹痛はほぼ良くなられました。
効果を得ているので、同じ処方で14日続投。

22年5月27日 に第三診
排便一日3回、大分調子がよい。引き続き同じ治療。
現在、西洋医学の薬を中止して、漢方にみて症状もなく、過ごされています。

逆流性食道炎、胃腸虚弱の漢方治療

千代田漢方内科クリニック

 逆流性食道炎とは、胃十二指腸の内容が食道に逆流してQOLを低下させる疾患で、胸やけと胃酸の逆流が主症状です。治療にはプロトンポンプ阻害剤(PPI)が第一選択で強いエビデンスを持っています。細胞のH+分泌の最終段階のプロトンポンプを特異的に阻害して、H2ブロッカーより胃酸抑制効果が強力であり、胃や十二指腸潰瘍、逆流性食道炎などに効果的に使われています。確かにPPIによって食道炎は改善しますが、PPIは逆流性食道炎の根本的な病態である逆流を治すことが難しいです。
 漢方薬には、食道と胃の蠕動運動を同時に改善させる働きをもつ方剤があります。特に、食道の順蠕動を改善させる新薬がありませんので、漢方方剤の臨床的な価値がより期待できると考えられます。
 また、PPI製剤を長期的に使用することにより、消化機能を低下する傾向がみられることも臨床の現場ではしばしばみられます。継続的なPPI製剤の使用により食事を食べれなくなり、体力が低下して、生活のQOLが低下する症例もあります。そのほか、機能性ディスペプシア(胃の機能障害)が原因による胃腸疾患があります。この場合は胃の粘膜、十二指腸の炎症所見がなく、症状としては胸やけ、吐き気、胃のもたれ、胃の痛みなどです。これらの症状を改善するには漢方の健胃薬、補気薬がより適しています。 当院において、漢方方剤の服用により、逆流性食道炎、胃腸虚弱が改善した症例を紹介します。

症例1 55歳の女性の方

千代田漢方内科クリニック

 逆流性食道炎と診断され、朝食後にタケプロン15mg、朝・昼・夕食後にガスモチン、アルサミンを服用しています。2011年にピロリ菌を除菌した。萎縮性胃炎が所見が所々に見られます。
 カレー、脂っこいものを食べないようにしています。睡眠の時には枕を高くして寝ていますがそれでも胸やけが治らないです。ゲップがよく出ます。苔薄やや黄じ、脈細沈。 処方:クラシエの半夏瀉心湯、ツムラの安中散。漢方薬を服用してから大分良いですが、天ぷらを食べた後に胸やけがひどくなることがあります。
 長年、逆流性食道炎でPPC製剤を服用しており、萎縮性胃炎になっています。食事にはかなり気をつけています。やせ型で、疲れやすい。
 タケプロンお服用が必要ないと考え、中止するようにしました。その後、タケプロンを止めてから食欲がでて、胃もたれも減り、大分元気になりました。現在は、クラシエの半夏瀉心湯、ツムラの安中散に戻して、概ね順調であり、快適に生活を続けています。

症例2 85歳の女性の方

 体力低下、舌炎。所見:舌が真っ赤になり、炎症起こしています。乾燥して、唾液がほぼないです。話すのもつらい、食べれない。胃の働きも弱くなり、ちょっと食べると胃が苦しくなります。頭はとてもクリアです。
 薬手帳を拝見すると、眩暈、心不全の薬のほかに、オメプラール20mgが含まれています。処方された経緯を尋ねてみますと3年前に胃カメラ検査をしたところ、食道、噴門部に少し赤みがあるのでオメプラールを処方されたとのことで、その後3年間飲み続けています。次第に食が細くなっています。体力も落ちてきました。本来は胃腸の自覚症状がなかったとのことでした。

千代田漢方内科クリニック

 80歳を過ぎた小柄で聡明な女性です。脾胃の力が弱くなってくる年齢であり、胃酸を薬により抑えていることにより、段々食事が摂れなくなり、このままでは今後、栄養失調で体が弱くなっていくと考え、オメプラールの服用を中止することにしました。
 タケプロンお服用が必要ないと考え、中止するようにしました。その後、タケプロンを止代わりに、漢方方剤であるクラシエの半夏瀉心湯、ツムラの安中散を処方しました。2週間後に、再診で来られた時は大分元気になり、食事が摂れて、舌のヒリヒリした痛みがなくなり、笑顔が見られました。
 漢方治療を継続して半年が経過し、体は見違えるように元気をとり戻し、一時は身辺整理をしようと思ったほど体が弱くなりましたが、今は大好きな洋裁を始めるまでに回復しました。

考察

 症例1、症例2の二つの症例ともに、PPIを中止することにより胃の自覚症状が改善され、萎縮性胃炎の所見も改善された症例です。
 胃腸が虚弱して、食が細い、胃がもたれやすい、脂っこいものが苦手、やせタイプの人に対して、これまで胃酸を抑える薬を長期に渡り継続投与している傾向があるように思います。
 逆流性食道炎の治療は、PPI製剤の治療のほかには、漢方方剤による治療が考えられ、逆流性食道炎の治療により適した薬であるようです。それは胃、食動の順蠕動運動を改善して、逆流に対する原因治療ができるからと考えられます。

中医学は、このような状況をどのように認識しているでしょうか?

千代田漢方内科クリニック

 中医学では、胃腸、消化器系全体の機能を、脾胃の働きによるものと認識しています。 脾気虚損とは、何らかの原因により脾気が不足している病態です。飲食の不摂生による脾の運化機能の失調、先天的な体質虚弱、あるいは慢性疾患による消耗、過労による損傷などが原因となります。脾気が虚弱になると運化の力がなくなり、消化不良をきたし、味覚も低下します。脾の運化機能が失調すると、気血の源が不足して、全体的に気血不足になるので、疲れ易くなります。
 一方、脾の昇清作用が減弱すると、胃の降濁機能も影響され、腹部の膨満感、食後の胃もたれなどの症状があると同時に、下痢、軟便などの症状がでます。さらに続くと、脾気の昇挙の力が失われ、中気下陥となり、慢性下痢、内臓下垂などの症状を呈します。
 のように中医学では、胃腸は"後天の元"と言われ、人は元気で健やかに生活していくためには、健康の胃腸が最も重要であると認識しております。


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